底付き体験から入院に繋がる
底付き体験を経て、アルコール依存症であることを認め、入院を決意しました。
この時、私は大変うれしく思い、治療する夫の力になりたいとまで思いました。
しかし、入院中に義母を誰が面倒みるのかが問題でした。
また、ケアマネジャーさん、保健所のケースワーカーの方、地域包括支援センターの職員が集まり、義母について今後どうするのか話合いをしました。
退院後も義母の介護より依存症を回復させることを優先的に行わないといけない状況であることを義母に説明し施設に入所してもらうことを説得しましたが、自分の家に帰りたいと受け入れません。
義母の家は、階段が急で一人暮らしは無理だと説得しました。
もちろん、私もアルコール依存症の夫を抱えて介護することは、もうこれ以上のことを抱えるのは無理でした。
私は、義母がとどまるのであれば精神的に限界がきているので、このまま別れたいと訴えました。
すると義母は『別れろ』と夫に促しました。
それを聞いた地域包括支援センターの方が『それは、息子さんが決める事!』と義母に一喝入れました。
私もその言葉に唖然としました。
夫が泥酔した時には、一緒に住むのは無理だとケアマネジャーさんに訴えていたのに、もう忘れてこんなことを言っている。
しかも、息子がこのままだと死ぬかもしれないという時に、自分の事を優先する親がいるのか。。。
許せない気持ちでした。
その時、夫が口を開き『申し訳ないけど、おふくろ施設に行ってもらえないか、俺はこのままではだめになってしまう』と言いました。
義母は言葉を失い、仕方なく施設に行くことを受け入れました。
本当にアルコール依存症って、みんなを不幸にする病気だなと実感しました。
いや、不幸とういう言葉ではすまない。
底付き体験して入院に繋がったのですが、こんなに苦しい道のりを辿らなければ治療に繋がらないのか。
この地獄の底付きというのは文字で伝えることが大変難しいのですが、操縦している飛行機を故意に墜落させるイメージです。
墜落すると全てが破壊されることは想定できます。
しかし、破壊してしまわないと永遠に続くのです。
地獄が繰り返し、繰り返しと。
何処かで破壊せねばならないのです。
アルコール依存症の本当の苦しみは、本人がとことん落ちた時なんです。
本人も苦しいかもしれませんが、酒を一滴も入れずに逃げ場もなく、目の当たりにする家族の心は破滅してしまいます。
人生を奪われてしまいます。
どうか、この世からアルコール依存症が無くなりますように。
つづく。